-妊娠糖尿病の新しい基準-


妊娠糖尿病の新しい基準

妊娠糖尿病のリスク

食事から取り込む糖は、血管から全身の細胞に取り込まれ、エネルギーになるほか、脂肪としても蓄えられます。この糖代謝を促し、血糖値を下げるのが、膵臓が分泌するホルモンの「インスリン」です。

糖代謝がうまくいかず、血糖値が高くなるのが糖尿病です。空腹時の血糖値(単位はミリ・グラム/デシ・リットル)が126以上などの場合に、糖尿病と診断されます。

妊娠糖尿病は、妊娠により引き起こされる糖代謝の異常で、糖尿病には至らない軽い高血糖の状態で診断されます。

妊娠中は、胎盤が分泌するホルモンなどにより、母体のインスリンの効きが悪くなるためです。膵臓はインスリンを妊娠前よりたくさん分泌し、血糖値を正常に保とうとします。しかし、膵臓の働きが弱くインスリンの分泌が足りないと、高血糖になってしまいます。


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妊娠糖尿病は、

1.35歳以上

2.肥満

3.家族に糖尿病患者がいる

4.過去に大きな赤ちゃん(4000グラム以上)を出産した

といった場合に、なりやすいです。

東京女子医大糖尿病センター名誉教授の大森安恵さんは、「妊娠糖尿病の母子への影響は、糖尿病患者の妊娠と比べるとずっと少ないです。注意すべき点は、胎児が大きくなりすぎることで、血糖値を改善する必要があります」と話しています。

母体が高血糖だと、胎盤を通じて胎児に届く糖も増えます。その分、胎児の膵臓が刺激され、インスリン分泌も過剰になり、脂肪がつきやすくなります。胎児が太りすぎると難産になります。さらに産後、母体からの糖供給が絶たれた新生児は、低血糖になりやすくなります。

妊娠糖尿病の診断と治療

新しい基準は、世界9か国の妊婦2万5000人の調査で、胎児の成長過剰などが起こるおそれが、健康な妊婦の1.75倍以上高まる数値を採用しています。従来は3項目中2項目を満たすと診断されましたが、1項目でも該当すると妊娠糖尿病と診断されるようになりました。基準値も、空腹時血糖値が100以上から92以上になりました。

妊娠初期と中期の血液検査で血糖値を調べます。異常があれば、75グラムのブドウ糖を含む液(糖水)を飲む精密検査(ブドウ糖負荷試験)を行い診断します。多くは決められたカロリー量の食事や、適度な運動をすることで改善できます。

妊娠糖尿病の人は将来、糖尿病になりやすいです。愛育病院(東京都港区)院長の中林正雄さんらが新基準を基にまとめた調査では、妊娠糖尿病の女性が産後10年で糖尿病になる確率は40%でした。糖尿病に近い「ハイリスク」(75グラムのブドウ糖負荷試験で2時間値 200mg/dl以上)と診断された妊婦では、産後4年で40%と、短期間で発症しやすい傾向にありました。

中林さんは、「妊娠糖尿病になった女性は、産後も生活習慣に気を配り、年1回は血糖値を調べて糖尿病予防に努めることが大切です」と話しています。

なお、従来は妊娠中に見つかった高血糖をすべて妊娠糖尿病としていましたが、新基準では、糖尿病の基準(空腹時の血糖値126mg/dl以上)に該当する場合は「明らかな糖尿病」とし、妊娠糖尿病から除外します。

妊娠糖尿病の新しい基準

1.空腹時の血糖値92mg/dl以上

75グラムのブドウ糖負荷試験で

2.1時間値 180mg/dl以上

3.2時間値 153mg/dl以上

3項目中1項目でも該当すると妊娠糖尿病と診断されます。


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関係医療機関

東京女子医大糖尿病センター

愛育病院

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